掛け軸 十六善神 園田秀園
【may depression（五月病）】（50号油彩）\rまず、存在を窮める。物質が「ある」とは、どういうことなのか?世界観の逆転を図る。価値観の逆転。それは、革命的創造ゆえに歓喜が内在する。「ある」とは?\r世の大半が「世界の中に自己がある」と知覚している。認識上に堆積したそうしたテーゼは、マス=コミ等による情報量が肥大すれば、つまり世界が拡大すれば、それだけ相対的な自己を小さくする。\r 貨幣による、物質から精神に及ぶ価値の互換性は、他律的な価値観を強制し続ける。疎外感はやる方なく、主体性を失うそういう唯物観に囚われし者に対し、一つのアンチテーゼを投げてみたい。\r 「自己の中に世界がある」。それは一見、パラドックスのように響くが、実は見えなくなってしまったに過ぎない。\r前者が認識上のものとすれば、後者は本能的である。\r 私達は、五感を通して外界を捉えている。今、仮りに自己が無いとしたらどうだろう。外界を認識している自己が無い以前に、外界は存在し得ない。認識上では「ある」と判っても、それを実証することは不可能である。自己が存在しなければ、「ある」とか「ない」とか、そういう問題すら意味を持ち得ない。つまり、世界は自己が認識して切りとられた部分だけが真に存在するのである。平たく言えば、「私がいるからこそ世界がある」のだ。\r 私の発言は大変奇異に感じられるかもしれない。しかし、あらゆる問題はここより始まり、文化、芸術、社会と複雑に絡み合い再びこの問題に帰結するであろう。そのとき、膝を交えてもう一度話し合いたいものである。

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